『MTA全書』出版記念講演へ行きました

こんにちは。谷川歯科医院 副院長の小林一久です。

先日、『MTA全書』という本の出版記念講演を聞きに行きました。演者は日本の根管治療のスペシャリストである寺内吉継先生です。

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)は歯科用の水硬性セメント(水との化学反応で固まるセメント)で、従来なら抜歯と診断されるような穴の開いた歯や、神経を取らなくてはいけないような大きなむし歯を保存的に治療するのに有効とされている材料です。

『MTA全書』はMTA開発者のMahmoud Trabinejad(マモウド・トラビネジャッド)先生の著書『Mineral Trioxide Aggregate: Properties and Clinical Applications』を、寺内先生が和訳したもので、多くのエビデンスに基づいた情報が集められたMTAの解説本です。

 

講演では、まずはじめに寺内先生が日本と海外の保険制度の違いや歯内療法(歯の神経の治療)の違いを簡単に説明されていましたが、日本は海外と比べて歯内療法の専門的な治療を行うには保険制度的になかなか厳しい環境だと感じました。

その後、MTAの性質やMTAが細胞におよぼす影響についての話になりました。本だけを読んでもなかなか難しく、知識として入ってきづらい分野ですが、そこを分かりやすく先生自身の臨床ケースを交えて説明してくださいました。MTAの細胞に対する影響については、MTAを使用する上で非常に重要な部分なので最後の最後まで何度も何度も説明されていました。

私は大学院で学んでいたこともあり、医療に使用する材料はしっかりとしたエビデンス(論文などによる裏付け)に基づいた物でないといけないと考えています。今回、MTAに関するエビデンスをたくさん紹介されていたので、改めて安心して使用できる材料だと思いましたし、もっと積極的に治療に取り入れていきたいと思いました。

 

中盤に歯内療法の大家の森 克栄先生が登壇されて「歯内はしないことが大切」とシャレを交えてお話されていましたが、以前、歯内療法の平井順先生のコースに行っていた時にも同じような事をおっしゃっていたことを思い出しました。歯の神経を取らないようにする事がいかに大切であるか、歯内療法の専門家の言葉だからこその重みを感じました。

そして、MTAは「歯内はしない」を実現するために使用できる材料です。

できるだけ保存的な治療を心がけている身としてはとても魅力のある材料で、今回講演を聞くことで今まで以上に自信を持って臨床に役立てていけると確信することができました。

 

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