食後すぐの歯ブラシについて

こんにちは。久しぶりに更新します。

2019年はじめの投稿は食後の歯ブラシについてです。

最近インターネット等で『食後にすぐ歯を磨くことは古い考えで歯が削れてしまったりするので絶対にしてはいけません。食後30分以上してから磨くのが新しい常識です。』などと書かれている文章を見かけることがあります。

これについては専門家の間でも意見が割れており、様々な場面で議論がなされています。

なぜこのような議論がなされているかというと下記論文を参考に人によって様々な解釈をしているからではないかと思われます。

Brushing abrasion of softened and remineralised dentin: an in situ study. 2004 Jan-Feb;38(1):62-6.

この論文は歯の内部の構造である象牙質を炭酸飲料(スプライト)に90秒漬けてその後口の中に戻し、何分後に磨くといいのかを調べた実験です。

結論は『象牙質が露出している歯に酸性飲食物を摂取した場合は少なくとも30分間、歯ブラシしないほうがいいでしょう』と書いてあります。

この論文のよく取り上げられているところは結論後半部分の、『飲食物を摂取した場合は少なくとも30分歯ブラシしないほうがいいでしょう』のところです。

しかし実は『象牙質が露出している歯に酸性飲食物を摂取した場合』といった記述が前半にはあるのです。

酸蝕症(炭酸飲料、柑橘類や酢などの摂取、逆流性食道炎、嘔吐の習慣などによって歯が溶けてしまっている状態)などで歯の表面のエナメル質が溶けて象牙質がむき出しになった患者さんを例とした実験で、健康な歯で炭酸飲料を口の中に90秒貯めてから飲むようなことを日常的にしなければそこまで問題ないと思われます。

現在日本歯科保存学会、日本小児歯科学会、日本口腔衛生学会、日本学校歯科医会ではほぼ同一見解を示しています。

日本歯科保存学会のステートメントは下記の通りです。

食後の歯磨きについては、歯のう蝕(ムシ歯)予防の見地から、これまで一般的に推奨されてきた通り、食後の早い時間内に行なうことをお薦めします。ただし、酸性の強い飲料などの飲食物を摂った場合には、歯の酸蝕(酸によって歯の表面が溶けること)に留意して歯みがきすることをお薦めします(なお、「酸性飲食物を摂取後30 分間は歯磨きを避けるべき」ということの確認はできていません)。

当院では上記理由より従来通り食後すぐの歯ブラシを推奨していますが、酸蝕症の方はこの限りではないので気になる方はご相談ください。

小林一久

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